—白いワンピース、赤いロングチェックシャツ、白のタイトめなワンピースの3種類。どれもステージ映えする衣装でしたね。衣装によってステージの雰囲気がガラリと変わって、その重要性を改めて気づかされたところがあります。
家入 ありがとうございます! 私も衣装は大事だと思いました。私の場合、衣装でモードがすごく変わるんです。白いワンピースを着ると、変な話ですけど「自分ってやっぱり女性なんだな」って思ったり(笑)。優しい曲を歌う時はこんな衣装がいいなとか、激しい曲を歌う時はあんなのがいいなとか、そういうところまで考えちゃいますね。
——当日歌った曲についてもいくつか聞かせてください。オープニングは「僕たちの未来」でした。
家入 この曲にはすごく強い思い入れがあって、「ここから新たに歩いていくんだ。私じゃなくて“僕たち”で」って気持ちを刻んだ曲なので、武道館の1曲目にふさわしいと思いました。
——「Hello」はMCで「この曲を武道館で歌いたかった」と言ってましたよね?
家入 はい。ファーストアルバムに入っていた曲なんですけど、福岡から上京して東京でやっていけるのかなって不安の中でも『やっぱりこっちが頑張るからね!』って気持ちを歌った曲なので、ファンの皆さんとこんなふうに一緒に歌えて幸せです!
——中盤、衣装を着替えてアコースティックを持って登場して歌ったのが「I promise you」でした。
家入 これは私が13歳の時に初めて作った曲なので、当時の自分が知ったらビックリすると思います(笑)。スクリーンに映し出された日記は、実際に当時書いてたものなんですよ。一瞬であの時に戻れました。
——さっき、「中盤にコアな曲を」と話してくれましたが、「Free」から「Bless You」までの怒涛のメドレーは迫力があってどんどん気持ちも高ぶっていく感じでした。
家入 自分の心の階段をどんどん下に潜っていくような流れにしたいと思っていたので、尺(時間)にもこだわりました。「この曲は2番を歌った方がいいかな」とか、バンドのメンバーに付き合ってもらいながら、何度もリハで試して、しっくりくるものを作っていきました。
——1曲でも多く聴きたいというファンにとっては、こんなふうにメドレーで歌ってくれたのは嬉しかったと思います。
家入 シングル曲はキャッチーさメインで作っているので1曲目から10曲目までダーっとフルで並べても聴きごたえがあるし、その部分も自分のリアルなところではあるんですけど、私、明るいか暗いかで言うと暗い人間なんです(笑)。その部分を武道館でどう見せようかなって考えた時、暗い曲を長くやっちゃうとひとりよがりというか、「それってただの自己満足じゃないの?」っていうふうになっちゃうのが嫌で。瞬発力が大事だと思ってるんですけど、ダークな世界を表現する時は尚更そう。それでも1曲でも多く聴いてもらいたかったから1曲を短くしてパパパパっと歌った方が自分の本当の伝えたいところが伝わるんじゃないかなって。だからメドレーにしてよかったです。シングル曲をフルで長く歌って、そのあとに毒を少しだけ差し込むからかっこよさが際立ったと思いますから。
——本編の最後はデビュー曲「サブリナ」でしたね。
家入 この曲に勝るものがなくて(笑)。いや、何て言うんですかね。デビュー曲っていうだけで意味を持ち過ぎると思うんです。武道館を締めくくる曲って何だろう?と思って、いろんな曲をセットリストの最後に置いてみたりしたんですけど、やっぱり「サブリナ」が一番しっくりくるんです」
—デビュー曲だということ、そして「サブリナ」自体の楽曲の持つ力を考えると1曲目か最後かって感じですよね。
家入 うんうん。「サブリナ」はこの5年間を象徴できる曲だと思いますし、一番変わった曲でもあります。あれだけキツくて「寂しくて愛がほしい」って歌ってた17歳の私の曲が、今、ライブの定番曲になっていて、みんなが笑顔で大合唱してくれるんです! この5年間の時の流れが一番刻まれてる曲だなって思いました。この曲が本編の最後で良かったです。
—この日本武道館公演が5月28日にWOWOWで放送されます。どんなふうに観てもらいたいですか?
家入 正直、今まではライブは生が一番だと思っていて、もちろん今もその気持ちは変わらないんですけど、「何のためにライブDVDやライブ映像を観るんだろう?」と考えた時、「あの夢の瞬間を何度でも何度でも味わいたいからなんだ」って思ったんです。過去の出来事っていいことばかり覚えてたりしますよね? もし今ツライことがあったとしても、あの時のライブはあんなだったなとか、元気になれると思うんです。もちろんこの放送で初めて観るという方も楽しんでもらえる映像だと思いますので、たくさんの人に観てもらいたいです。
ドラマの主題歌に起用された曲など、お馴染みのシングル曲がたっぷりと聴けて、コアな楽曲も楽しむことができる。一夜限りの日本武道館での5周年記念ライブは集大成的な内容でもあり、次に繋がる新たな起点となる重要なライブでもある。会場で体感した人も、観に行けなかったという人も、5月28日(日)夜7時からWOWOWで放送されるこの公演を観て、その歌の力をたっぷりと味わってもらいたい。