近年、地方自治体発のPR映像が増えている中、宮崎県えびの市で新たな取り組みが始動した。宮崎県立飯野高校3年B組の生徒33人が、全4回のワークショップを通して、えびの市をPRする映像のアイデアや制作プランを考えるという試みだ。高校生から出た案は、ミュージックビデオとして来年発表される予定だ。
本プロジェクトで講師を務めるのは光嶋崇(京都精華大学講師)で、楽曲制作にはBose(スチャダラパー)と曽我部恵一(サニーデイ・サービス)の豪華アーティストが共演。映像監督は木村和史(京都精華大学講師)が務めるなど、有名クリエイター陣が協力する。
7月22日(土)に第1回目のワークショップが行われた。講師の光嶋崇によるデザイン思考という発想法を元に、市内の撮影地やストーリーといったアイデアを考えていく。高校生らしい斬新な視点でのアイデアが数多く生まれた。
生徒は5名から6名のグループに分かれ、互いに意見を出し合いながらアイデアをまとめていく。2時間のワークショップの中で、積極的にアイデアを出す心、他者の意見を尊重する姿勢を学び、高校生にとっては大きな成長の機会となった。
今後、高校生から出たアイデアを元に楽曲制作、映像のロケーションが決定されていく。高校生と豪華クリエイター陣による合作となるミュージックビデオ形式のPR映像の完成が楽しみだ。
また、クリエイター陣より本プロジェクトへのコメントが届いた。
○光嶋崇(京都精華大学講師)
ロジックで解決できないことも創造性で解決できることがあります。正しい/正しくないだけでは人は動きません。「人の2割は合理性、8割は非合理性」とも言われます。私生活の中の心理背景にヒントを見出しましょう。
〇Bose(スチャダラパー)
東京にある渋谷区や世田谷区みたいな有名な町と違って、えびの市のような、「それってどこの県にあるの?」って言われるような町が、実はほとんどなんだと思います。ぼくもそういう町で生まれ育ったので、えびの市にある、隠れた良さや、ここはちょっとなという問題点が、なんとなく分かります。そういうことをみんなで発見出来たらいいんじゃないでしょうか。
〇曽我部恵一(サニーデイ・サービス)
えびの市。
この未知の地にどんな異才があるのか、永井博風の空をじっと見ながら戦々恐々としている夏です。
〇木村和史(京都精華大学講師)
飯野高校の皆さんが10年、20年後に見て楽しめる、そして大人になった時に、改めてえびの市の素晴らしさを感じて誇れるような参加してよかったと思える形に落とし込めたらと思っています。えびの市の皆さんと関われること、素敵なミュージシャンとアートディレクターと一緒にこのようなプロジェクトに参加出来て僕が高校生のようにワクワクしています。
◎クリエイター陣 プロフィール
〇光嶋崇(京都精華大学講師)
1970年生まれ、岡山県出身のアートディレクター。
桑沢デザイン研究所卒業後、スペースシャワーTV、CISCO RECORDSなどの音楽業界を経て、ドキュメンタリー映画『さんピンCAMP』を監督。 後にデザイン事務所設立。スチャダラパー、ドリカム、新国立劇場バレエ団、LANVIN、FILAなどのデザインを手がける。現在は大学でデザイン講師としても活動中。
〇Bose(スチャダラパー・京都精華大学ポピュラーカルチャー学部准教授)
1969年生まれ。岡山県出身。1988年にBose、ANI、SHINCOの3人でラップグループ「スチャダラパー」を結成。1990年に高木完氏プロデュースによりメジャーデビュー。小沢健二氏とのコラボ曲『今夜はブギー・バック』や『サマージャム’95』などヒット曲多数。日本のヒップホップシーンを牽引する存在として、多くのアーティストからリスペクトされている。
〇曽我部恵一(サニーデイ・サービス)
1971年生まれ、香川県坂出市出身。
1994年、サニーデイ・サービスのボーカリスト/ギタリストとしてメジャーデビュー。
2001年よりソロとしての活動をスタート。2004年、メジャーレコード会社から独立し、東京・下北沢に<ローズ・レコーズ>を設立。精力的なライブ活動と作品リリースを続け、執筆、CM・映画音楽制作、プロデュースワーク、DJなど、多岐に渡って活動を展開中。
2017年6月2日、全22曲・85分からなるサニーデイ・サービスの最新アルバム『Popcorn Ballads』をApple Music、Spotifyにてストリーミング配信スタート。
〇木村和史(京都精華大学講師)
1976年生まれ、千葉県出身の映像クリエイター。
谷田一郎氏に師事後、「Kimgym」を設立。主にCM、音楽ビデオの監督を手掛ける。
ヤマト運輸、NIKEなどの企業CMやPR映像、クレイジーケンバンド、OKAMOTO’Sなどの音楽ビデオ、EXILE、布袋寅泰、木村カエラ等のライブ映像も担当している。