ステージ中央。ふいにシルエットが浮かぶ。
バックライトを背に受けながらMACOが登場した——と、客席が一気に沸く。大きな歓声が飛ぶ。観客の体温が急上昇していく。それが手に取るようにわかる。
2016年に行われた2度の全国ツアー『FIRST KISS TOUR』『love letter Tour』とは観客の空気が、熱量が、決定的に変わっている。彼女のファンは圧倒的に10〜20代女性が多い。それゆえこれまではお世辞にも、「ライブ慣れ」しているとは言えなかった。だが、それが今回は最初から、全身でライブを楽しんでいる。
MACOは、その歓声をいっぱいに受けながら、オープニングの『HERO』、そして『夢のなか』までを伸びやかに歌い上げる。強く、澄んだ歌声が会場の隅々までを満たしていく。
「『今日もあなたに恋してます TOUR 2017』ファイナル! 横浜! 今日は来てくれてありがとうございます! MACOです! 最高な一日を作り上げましょう!」
2曲歌い終えた彼女の姿を見てハッとした。彼女もまたどこかが変わっている。
柔らかさの中に強さが見え隠れするような、誤解を恐れずに言えば、プロとしての自信に満ち溢れているような。その存在感に圧倒される。
『Love Lie』『Missing You』と観客を見事に引き連れ、会場の熱をさらに上げていく。そのままの勢いで『恋人同士』『love letter』、1st シングルの『LOVE』へ。客席から響き続ける大きな手拍子の中で、気持ちよさそうに歌うMACO。m-flo loves加藤ミリヤの『ONE DAY』カバーを挟んで、『Your Love』、そして『手紙』を歌い切ると会場中は一体感と幸福感に包まれる。
衣装チェンジを済ませるとライブは後半戦突入。『二人は夢みるマーメイド』『うれし涙』、『恋心』のキュートでPOPなサマーチューン・アレンジを披露し、観客はすっかり南国バカンス気分にさせたところで、一転、バラードへ振る。
『ふたり』『この世界中で』『Kiss』と静かに切なく、文字通り「全開」で歌い上げていく。澄んだ高音域がどこまでも力強く伸びていく。
聴いているこちらが、いつの間にか手にギュッと力を込めてしまうほど、握り締めた手が汗ばんでしまうほどの圧倒的な歌声が、鋭く刺さる。そのまま塊になって胸に残っていく。“ラブソングのカリスマ”の真骨頂だ。
『恋するヒトミ』『family』で本編は終了……と思ったのも束の間、アンコールを待ちきれない観客が『LOVE』を歌い出す。歌声の輪はあっという間に広がり会場中が大合唱に包まれる。もはやMACOのライブではお馴染みの光景だ。
割れんばかりの拍手に迎えられステージに再登場したMACOはAIの『Story』をカバーし、『ふたりずっと』と続ける。そして——5月の福岡からスタートした全国5か所でのツアーもいよいよ本当のラストを迎える。最後を飾ったナンバーは、CMソングにもなっている『恋の道』。
ファイナル全21曲を歌いきった彼女は、ようやく肩の荷がおりたように息をついて、とびきりの笑顔を見せた。
「家族や友人、そして愛する人、大切な人たちのそばにいられるだけで幸せなんだって、感じるようになりました。今日来てくれたみんな、本当にありがとうございました! また必ず会いましょう! MACOでした!」
人は変わる。ほんの一瞬で、誰もが変わっていく。
いま目の前で、ひとりの女性が「変わろう」としている。自分の人生にチャレンジしようとしている。
もちろん彼女はこれまでもチャレンジし続けてきた。「歌を仕事にする」と決めて、単身上京してきたときから、ずっと。だが今回のツアーでは、これまでの苦労も喜びも、自分自身をも、軽やかに超えていくような強さ——「覚悟」を確かに感じた。
その覚悟が、観客たちを巻き込みとりひとりが感化され、ライブ全体、いやツアー全体をも大きく変えた——成長させたのだ。
彼女が自分の人生に起こしたチャレンジが、これから彼女をどう変えていくのか。
それは誰にも分からない。きっと彼女自身にも分からない。
しかし、その変わって行く自分の姿で、その歌声で、誰かの気持ちを豊かにできるのならば、それこそ、「表現者」と呼ばれるべき人間なのだ。
MACOは、そんなシンガーソングライターなのだ。
これからも、恐れることなく変わり続けていくであろうMACOに、その歌声に、私も観客のひとりとして期待せずにはいられない。
MACO『今日もあなたに恋してます TOUR 2017』
2017年7月8日(土) 神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
- HERO
- 夢のなか
- Love Lie
- Missing You
- 恋人同士
- love letter
- LOVE
- ONE DAY
- Your Love
- 手紙
- 二人は夢みるマーメイド
- うれし涙
- 恋心
- ふたり
- この世界中で
- Kiss
- 恋するヒトミ
- family
■アンコール■
- Story
- ふたりずっと
- 恋の道
★ライブセットリストプレイリスト
▽Apple Music(Connect)
▽LINE MUSIC(MACOアカウント)
<MACOプロフィール>
2014年にメジャーデビュー以降、ラブソングを中心に共感を呼ぶ歌詞や、歌声で10代〜20代の男女に絶大な人気を誇るシンガーソングライター。
デビュー1年目よりレコチョク年間ランキングの新人部門で1位、第29回日本ゴールドディスク大賞の新人部門など各賞を受賞。2015年11月にはスマッシュヒット「LOVE」、「ふたりずっと」「Kiss」を収録した待望の1stフルアルバム『FIRST KISS』がiTunes及びレコチョクで総合1位、オリコン週間ランキングTOP5に輝き、デビューより3作全て1位を獲得した。SNSを中心に話題を集めYouTubeの総再生回数は日本人アーティスト最速で8,000万回を超え、YouTubeが展開する「好きなことで、生きていく」キャンペーンへの出演をするなど話題となっている。9月21日には待望の2nd アルバム「love letter」をリリースし、2作連続オリコンチャートTOP10入りを記録。10月からはそのアルバム「love letter」を引っさげて異例の年に2回目の開催となる全国8都市を廻る「あなたにはじめて、手紙を書くよ。love letter Tour 2016」開催。2017年2月22日にそのTOUR映像商品をDVD/Blu-rayで発売。
今年は、5月17日に第一弾シングル「恋するヒトミ」(MACO x ACUVUE®キャンペーンCMソング)をリリースし、5月28日(日)の福岡サンパレス公演を皮切りに、大阪、北海道、愛知、神奈川の5都市をまわり、ツアーファイナルはMACOの全国ツアー会場としては最大規模のパシフィコ横浜にて開催。