INTERVIEW

井上苑子 インタビュー、ニューシングル『メッセージ』で伝えたい事。

いま女子中高生のあいだで絶大な人気を誇るシンガーソングライター井上苑子が、同じく女子中高生に人気の原作コミックスを実写化した映画『ReLIFE リライフ』の主題歌を書き下ろしたニューシングル『メッセージ』を4月12日にリリースする。恋する女の子のリアルな心情を綴った胸キュンな歌詞に、キラキラとしたサウンドが弾ける井上ワールド全開となった今作。カップリングにはCMソングとして話題の「どんなときも。」(槇原敬之)のカバーを収録するなど、バラエティ豊かな全4曲が収録されている。今回のインタビューでは、試行錯誤しながら辿り着いた井上苑子の音楽と歌へのこだわりを訊いた。

――井上さんのプロフィールを見させていただいて驚いたんですけど、小学校6年生……だから、11歳から路上でライブをされてたそうですね。

井上そうなんです。この前ツイッターを見てたら、「井上苑子、11歳から路上って嘘だろ」って書かれてたんですけど、ではないです(笑)。いま思ったら、自分でも11歳からなんて早かったなと思うんですけど、あのときは、自分に何ができるかわからなくてやってたんです。いま思うと、そういう経験をしてる人は少ないと思うので、すごく武器になったと思います。あとは、肝が据わってたなって思います。

――そうですね(笑)。

井上昔から、怖いもの知らずなんです。あのときは、「今日はちょっとやりたくないな」と思う日もあったし、全然お客さんが集まらない日もあったので本当に泣きそうなときもありました。だったんですけど。

――それでも辞めずに続けてたんですか?

井上:辞めたらかっこ悪いと思ってじゃないですか。だから辞めなかったんです。すごく人の目を気にするので、そのおかげで、いろんなことにチャレンジして、それを続けてこれたのかなと思います。一歩足を踏み込んだら、絶対に辞めたくなかったし、井上苑子っていうものをいろんな人に見てもらいたい、そういう気持ちが人一倍あったんです。

――いまは井上さんは19歳になって。たぶん同い年の友だちのなかには、まだ自分の将来を悩んでる子も多いと思うんですよ。

井上:決めてない子も多いですね。

――ずっと歌をやりたいっていうのは変わらないですか?

井上:変わらないです。すべてにおいて自信がない人間なので、自分に自信があるものが歌しかないんです。すべてにおいて自信がない人間なので(笑)。勉強とか、いろいろなことで自分よりスゴイ人がいっぱいいたし、小学校5年生から事務所に入ってたので、お仕事をされてる方を近くで見ていたり、自分が大好きだった歌手のライブを見に行かせてもらったのも大きかったと思います。

――それは誰だったんですか?

井上:いきものがかりさんです。そういう方とお会いする機会があると、本当に自分はちっぽけだなって思って、全然自分に自信が持てなくて。でも、少しずつ「井上苑子の歌が良い」って言ってくれる人に出会って、ライブの会場がちょっとずつ大きくなって、そういう人たちをもっといろんなところに連れていきたいなって思い始めてから、ちょっとずつ自信になってきたんです。歌で自分に自信をつけていくしかなくて、だから歌を辞めるなんてことは、もう絶対に無理でしたね。

――なるほど。歌が、井上さんに自信を持たせてくれるものだったんですね。最初は、「辞められない」っていう気持ちだったけれども。

井上:そうですね。自分のなかで、どんどん歌の意味合いも変わっていきました。いまは歌うっていうよりも、喋ってるように伝えたいなと思ってやってます。

――そんな井上さんも今年は10代の最後の年ということで。今回のシングル『メッセージ』は新しいチャレンジが多い1枚になったんじゃないかと思います

井上:本当にそうです。全部が濃い1枚になりました。「メッセージ」は映画(『ReLIFE リライフ』)の主題歌として書き下ろしたんですけど、いままでもアキュビューさんのタイアップで、「ナツコイ」っていう曲を書き下ろしていて、それは“見える”みたいなことを歌詞に入れてほしいっていう注文があって書いたんですですが回は映画の書き下ろしなので、最初は作品全体を通して、ちょっとずつ触れ合ってないといけないんだろうなと思っていたんですが監督とお話しさせて頂いた時に、「あんまり寄り添わなくていいよ」って言われて。映画のことは置いておいて、曲が良かったら、映画自体が新しい豊かなものになるからと言われたんです。

――それもプレッシャーを感じそうですね。

井上:そうなんです。私、もともと『ReLIFE』の漫画の原作ファンだったんです。人に勧めるぐらい好きだったんです。だから全く『ReLIFE リライフ』に寄り添わない曲が全然できなくて、それで、もしも自分が原作のファンで、ふつうに劇場に見に行ったときに、主題歌を聴くとしたら、ちょっとはリンクしてほしいなと思ったんです。だから、今回は原作とは少し違う目線でヒロインの女の子の気持ちを書いてみることにしたんです。

――じゃあ、監督さんには寄り添わなくていいって言ったけど……。

井上;寄り添いました(笑)。それを監督も気に入ってくださって、今回はPVも監督が撮ってくださったんですけど、現場でも誰よりもノリノリだったんです。それで、さらに自分の歌を信じて良かったんだなと思いました。

――映画のなかでは、ヒロインの女の子はコミュニケーションが苦手な子で、歌詞にも“わたしはね 誰とでも話せない 君のように”って出てきますけど。その女の子のイメージで書こうと思ったのはどうしてですか?

井上:やっぱり漫画を読んでても、男の子より、女の子の気持ちに共感できるっていう部分はあるんですけど、この女の子のがんばってる姿とか、葛藤してる姿が、すごく刺さったんです。だから、恋をしてて、それがうまくいってないけど、そういう誰かの背中を、明るく前向きに押せる曲を書こうと思ったんです。

――アレンジ的にはキラキラとした可愛い感じも印象的でした。音作りもかなりこだわって作ったんですか?

井上:普段から、井上苑子の曲はキラキラで、いろいろ盛り込みすぎちゃってるので、バンドさんには、「難しすぎ」とか言われたりするんですけど(笑)。今回は映画がキラキラしてたので、さらにキラキラさせられるような歌にしたいと思ったんです。シャボン玉がぷくぷくするような、ふだん聴くような音楽では、あんまり聴こえない音を入れたりして、可愛いサウンドにしたいなっていうのがいちばんだったんです。

――たしかに井上さんの曲って、たとえば去年出した「ナツコイ」もですけど、すごく可愛らしい音を盛り込ん出て、それが声にも合ってますよね。

井上:ありがとうございます。ポップスにもいろいろなものがありますけど、けっこうポップスのなかの、超ポップスみたいな(笑)。ポップ、ポップ、ポップ!みたいなものを私は目指してるので、聴いたときにすごくキラキラしてるのは感じてほしいです。

――そういう方向性っていうのは、やっぱり女性シンガーソングライターがたくさんいるなかで、自分に似合うものを模索しているなかで見つけたことなんですか?

井上:もっとシンプルなJ-POPにしたほうが良いんじゃないかっていうふうに、どんどん削ぎ落として作ったのが「大切な君へ」(デビューミニアルバム『#17』収録)という曲だったんです。「あ、これだな」と思ったのはそこからですからね。

――いま、こうやってお話してると、自分でこうしたい、ああしたいっていうのは持ってらっしゃいますね。

井上:そうですね。でも、逆に「こうしてみて」って言われても、超楽しくやれる自信もあるんです。どんな音楽でも、音楽をできるっていうことが嬉しいからよく心配されるんです。こんなにいろんなジャンルをやってると、「どれがいちばんやりたかったことなの?」とか。でも、そういうことじゃなくて。全部にすごく愛を持ってやってるつもりなんです。そのなかで自分に合ってるものは、いまの状態なのかなっていうのは感じてます。

――カップリングの「おはよう」は、よりシンプルに可愛らしく聴かせる曲ですけども、これもタイアップのお話があって書き下ろしたんですか?

――ああ、難しそうですね。

井上:私も、昔はニキビはあったから、気持ちはわかるんですけど。でも、考えてたら、ニキビって、恋する女の子の象徴っていうか、そういう雰囲気がうまく表現されるんです。その一言に青春感が出たりする。だから、意外と良いキーワードだなと思いました。

――ちゃんと恋する女の子の曲になりましたね。「おはよう」の一言だけで、どんどん妄想が広がっちゃう感じとか共感できる人も多そうな。

井上:「おはよう」っていうタイトルは最後に決まったんです。やっぱり「おはよう」は、好きな人との交わす言葉の入門だと、私自身も思った経験もあるんです。「おはよう」って言ったら、「おはよう」って返ってきて、それ以外も言いたいのに、何も言えなくて。だけど、向こうから、たまに「おはよう」って言ってもらえると、なんかうれしくて、みたいな、そういう気持ちを書いてみました。

――最初に言ってた「喋るように歌う」っていうのも、この曲は出てるなと思います。

井上:こういう物語みたいな曲は、日常を書いてるので、特に喋るようになるんです。よくファンの人には「顔芸してるんじゃないか」って言われるんですよ(笑)。歌って、聴いたらサラッと消えてしまうものだし、それが良いところでもあるんですけど、私は物語として書いてるので、どうにかして、一語一句を逃さないで聴いてほしいところがあって、それを伝えようとすると表情に出るとというか、顔で歌うような感じになるんです。

――それは歌の主人公の気持ちを演じてるような感じ?

――カップリングには、カバーが2曲収録されています。「どんなときも。」(槇原敬之 / Galaxy S7 Edge CMソング)と「さくら」(ケツメイシ / 映画『ReLIFE リライフ』エンディングテーマ)。どちらもタイアップありきだと思いますが。

井上:そうですね。カバーの場合は、それを作った人の気持ちとか、想像してる情景とかがあるから、それを自分なりに伝えたいと思って歌ってます。

――「どんなときも」は1991年のヒット曲だから、生まれる前の曲ですよね。

井上:知っていました。本当ににちゃんと歌えるぐらい知ってたので、自分の新曲よりも馴染んでいるんじゃないかっていうぐらい歌えました。

――これをピアノの伴奏だけで歌うっていうのは?

井上:今回、CMソングとして、いろんなバージョンを、久保田(真悟)さんというアレンジをやってくださってる方に作って頂きました。そのなかで、いちばんシンプルなピアノのアレンジが雪景色にも合うっていうので決まりました。もうちょっと明るいサウンドとかもあったんですけど、今回はCMのプロデュ―サーさんにも、「ちょっと大人っぽい苑子が聴きたいなあ」って言われて、チャレンジしてみました。

――今回マッキーの曲に向き合ってみて、改めてソングライターとして「ここの歌詞はすごいな」と思う部分はありましたか?

井上:こんなにストレートに歌詞を書かれてるのがすごいなと思いました。自分も恋愛の曲だとストレートに書けるんでけど、自分自身のこれからのことを書くと、けっこうふわっとしてしまうんです。みんなが思うことを書くっていうのは、すごく難しいと思うんです。なんて言うんだろう……あんまりリアルに自分が思うことを書いてしまうと、みんながわかるものにするのが難しいというか。でも、槇原さんの曲は、すごく共感しやすくて、だけど全然浅くないんです。それが衝撃というか、勉強になりました。

――なるほど。

井上:なかでも、私は1番と2番の情景の違いがすごく好きなんです。1番は、自分が大切にしてる場所から去るみたいな雰囲気で、2番では、新しく自分がいる場所のことを書いていて、特に“ビルの間きゅうくつそうに 落ちて行く夕陽に”ところが好きなんです。“きゅうくつそうに”って言うと、マイナス要素の気がするんですけど、そこに“焦る気持ち溶かして行こう”だから、それを見ながら、自分の心を落ち着かせようとしてる。自分の葛藤と、これからの未来にある希望をすごく上手に書かれているなと思いました。

――わかりました。最初にも言いましたけど、新曲あり、カバーありで、井上苑子のいろいろな面を詰め込んだバラエティ豊かな1枚になりましたね。

井上:だから、買っていただきたいです(笑)!あんまりCDを手に取らない人も多いと思いますけど、ものを手に取ったり、いまからCDをプレイヤーに入れて聴くっていうワクワク感とかもあると思うので、そういうのも感じてほしいなと思います。

――今年は10代最後の年ですけど、ミュージシャンとして10代のうちにやっておきたいことはありますか?

井上:私は、けっこう「ファンの方と距離が近いね」って言われるんです。それがいちばん大事だと思っています!やっぱりライブに来るのは消費カロリーが高いので、大変だと思うんです。それでも私のライブには、友だちの家に行くような気持ちで来てほしいなと思うんです。友だちみたいに接しながら、歌を届けることで、みんなにも「井上苑子にしかできないことは、やっぱりこれだな」って思ってもらえる時間を作りたいです。

――ただ歌うだけで終わる関係じゃないってことですね。

井上:そうですね。ずっとファンの子たちと一緒に楽しくやれればと思います。

Text:Rie Hada


■リリース情報

 

4月15日公開 映画「ReLIFEリライフ」主題歌

井上苑子 New Single「メッセージ」4月12日発売

【CD収録曲】全4曲収録

1.「メッセージ」 映画「ReLIFEリライフ」主題歌

2.「どんなときも。」 Galaxy S7 edge「どんな君も、逃さない」CM ソング

3.「おはよう」 ロート製薬「メンソレータム®アクネス®」キャンペーンソング

ボーナストラック

4.「さくら」(井上苑子と海崎新太)  映画「ReLIFEリライフ」エンディングテーマ


■リリース情報井上苑子春のツアー日程

4/16(日)Zepp Nagoya(愛知) 17:00開場/18:00開演

お問い合わせ:ジェイルハウス 052-936-6041

4/26(水)中野サンプラザ(東京) 18:00開場/19:00開演

お問い合わせ:ディスクガレージ 050-5533-0888

全席指定 ¥4,200

※Zepp Sapporo、Zepp Namba、Zepp Nagoyaは別途ドリンク代500円がかかります。

チケットは各プレイガイドで一般発売中!

ぴあ

イープラス

ローチケ


井上苑子HP  http://www.inoue-sonoko.com

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